インド聖典 人生の秘訣シリーズ 全16話
インド聖典の権威スワミ・パラマールタナンダによる「ヴェーダーンタへの道」を翻訳・編集した全16話のシリーズ。
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バガヴァッド・ギーターとは? ヴェーダーンタへの道 全16話

【第2話 聖典の全体像】3.実話に基づいた「プラーナとイティハーサ」、解説「バーシャ」

  1. 膨大なインド聖典は「ヴェーダ」が基本
  2. ヴェーダを体系化した「スートラとスムルティ」
  3. 実話に基づいた「プラーナとイティハーサ」、解説「バーシャ」

3. 実話に基づいた「プラーナとイティハーサ」、膨大な解説「バーシャ」

6つの聖典のグループ-その4「プラーナ/物語」

4番目は「プラーナ」として知られているものです。プラーナはまた、更に拡大された形式の文献です。スートラは謎めいていて、スムルティは少し拡大された形です。プラーナになると、更に拡大されています。スムルティが1:10だとしたら、プラーナは1:100になります。そしてプラーナという言葉の意味は、非常に古い文献でありながら、現代にも関連がある、大昔のものなのに古臭くない、という意味です。

そしてこのプラーナの文献も詩の形式になっていて、これもまた、ヴェーダの教えをテーマごとに配列し直して体系化しています。そして論争があったり、曖昧または矛盾しているように見える箇所があった場合は、それを明確にしています。

そして、プラーナのもう一つの重要で独特な役割は、プラーナは前の文献に含まれる抽象的な教えを「物語の形式」で具体的に表現していることです。なので、膨大なキャンバスに描かれたプラーナの物語は、とてもユニークなのです。

例えば、ヴェーダの中で示されるたった一つの価値観が、プラーナの物語の中では、何千もの節で描かれ強調され、拡大されています。例えば、ハリスチャンドラ・プラーナの物語は、もの凄く入念に描かれています。しかし、ハリスチャンドラ・プラーナ全ストーリーの真髄は何でしょう?それは、ヴェーダの中のたった二言です。「サッテャン・ヴァダ(真実を貫くこと)」です。ヴェーダの中のたった二言が膨大な文献になるのです。抽象的な言葉が具体化され、ヴィジュアル化されるのです。

そして沢山の抽象的な教えが、人物として象徴されています。バーガヴァダ・プラーナの中では、カーマ(快楽)が、クローダ(怒り)が、アハンカーラ(エゴ)がラクシャサ(悪魔)として表現されています。

教えは擬人化され、言葉は象徴化されて使われているのです。具体化、象徴化、擬人化、拡大化・・・これらは全てプラーナの中で表されており、その教えの影響力は強烈なものになります。

そしてプラーナの多くがヴャーサーチャーリヤ自身によって書かれました。膨大なプラーナの中で最も有名なバーガヴァタ・プラーナも、ヴャーサーチャーリヤによって書かれました。それゆえ彼は非常に崇敬されています。

聖典のグループ-その5「イティハーサ/実話に基づいた」

5つ目の聖典のグループは、「イティ ハーサ(このように間違いなく起こった)」です。イティ・ハーサとは、歴史に基づいた文献という意味です。イティハーサの内容は、実話に基づいていることになっています。イティの意味は、このように。ハの意味は、絶対に、疑いなく。アーサの意味は、起こった、です。

プラーナの物語でさえ、多くが実際に起こったとされていることで、イティハーサも実際の出来事を元にしていることになっています。そして、イティハーサも詩の形式を取っています。

そして、二つの有名なイティハーサがあります。

一つは、ラーマーヤナ、オリジナルはヴァールミーキによって書かれ、後になってたくさんの人々に書かれました。
もう一つは、マハーバーラタです。クリシュナアルジュナの対話が描かれたバガヴァッドギーターは、このマハーバーラタに含まれています。これもヴャーサーチャーリヤによって書かれました。
ラーマーヤナは2万4千節、マハーバーラタは10万節から構成されています。

ラーマーヤナは、物語の中でモデルとして描かれている、ラーマによって導かれた人生、人生の道、という意味です。モデルと言っても、ヘアスタイルのモデルではないですよ(笑) ヴェーダの道に沿った「生き方のモデル」です。

なぜなら、モデルは強力な影響力を持っているからです。例えば、テレビで何かの教えを紹介したい場合、モデルから紹介しようとします。サッカー選手か映画俳優か、二人のモデルが使えるとしたら、どちらが有名だろう?なぜこのように考えるのでしょうか?なぜなら、有名なモデルからの情報は、大きな影響力があるからです。

同様に、マハーバーラタは、バラタ一族の王の物語と言う意味です。そして「マハー」は、バラタ一族の物語を扱う膨大な文献であることを示しています。そして物語を通して、ヴェーダの教えはここでも伝えられているのです。

しかしここでは、この文献が歴史に基づいているからといって、全てが完全な実話であると捉えるべきではないことを、覚えておかねばなりません。この文献において、歴史を伝えることが最も重要な目的ではありません。もし、歴史を伝えることが最も重要な目的であれば、全ての詳細も完璧に正確に伝えられなくてはなりません。ここでは歴史は補佐的な役割にすぎません。最も重要な目的は、ヴェーダの教えです。それゆえ、歴史には作り話も混ぜてあります。いくつかは実話で、いくつかは作り話ということです。

ですので、ラーヴァナ(ラーマーヤナに登場する悪魔王)には本当に10個もの頭があったのですか?とか聞くべきではありません。ラーヴァナという名前の人物は実在していたかもしれませんが、10個の頭についてはこだわるべきではありません。もし、本当に10個もの頭があったとしたら、彼はどうやってバランスを取っていたのでしょう?片方に5つの頭があったとしたら、もう片方には4つの頭ということになります。中央に一つの頭があるはずですから。こんなので、どうやって歩けるでしょう?(笑)

ですので、10個の頭というのは、幾つもの側面を持つ人物の象徴だったということになります。一つの頭は、敬虔深い信者、別の頭は悪魔、別の頭は支配者、別の頭はわがままな人、別の頭は傲慢さを表しています。多重人格を象徴していたのです。

このように、時には架空の人物が登場したり、時には象徴的な言葉が使われていたりしますが、実際にあった出来事も多く含まれています。

ちょうど、映画タイタニックのような感じです。もし、映画の中の全てが実話ですか?それとも作り話ですか?と尋ねるとしたら、多くは実話だけど、映画という目的のため、いくつかの味付け(マサラ)も加えられています、と答えなくてはいけません。さもなければ映画が成り立ちません。今日、多くの人たちは実話より味付けの方に興味があるようですが・・・それゆえ、この味付けはリシたちにも使われています。だから現代でさえ、ラーマーヤナとマハーバーラタの連続ドラマがあると、多くの人たちが好んで観るのです。(ヨーガカイラスさんのサイトから、日本語字幕付きのドラマが観られます)

聖典のグループ-その6「バーシャ/解説」

最後の文献の層は、「バーシャ」と呼ばれる文献です。バーシャとは、サンスクリット語で書かれた、前の5つのグループの文献の解説です。

それぞれの文献は非常に膨大なものです。全部学ぶのに一回の人生だけでは足りません。しかし過去の偉人たちは、全てのヴェーダのバーシャ/解説を書くために、時間とエネルギーと知力を費やしてくれました。

しかも、解説は一つだけではありません。ヴェーダに対していくつもの解説、スートラに対していくつもの解説、スムルティに対していくつもの解説、プラーナ、イティハーサに対しても同様です。

そして、大勢の著者がたくさんの解説を書いただけではありません。これらの解説には、更なる解説が書かれているのです。そして解説の解説が書かれているだけではありません。更にその解説の解説の解説まで書かれているのです。そして更に、その解説の解説の解説の解説まであるのです!

考えてみてください。解説は必要とされています。なぜなら、聖典の文献は、正しい方法で開錠/解明されなければならないからです。もし、あなたが教えをどうやって抽出するのか分からなかったら、聖典を理解するのに問題が生じるでしょう。あなたはネガティブな考えを増長させてしまい、たくさんの誤解をしてしまうでしょう。それゆえ、もし聖典から恩恵を受けたいのであれば、どうやって開錠するかを知らなくてはいけません。

それが、一般的にサンスクリット語の文献を翻訳することは勧められていない理由です。特に西洋人に対して、または西洋の教育を受けたインド人に対して、でさえです。なぜなら、単純にサンスクリット語の辞書を見て翻訳をするだけでは、全く意味がないからです。

「サンプラダーヤ/鍵を開け閉めする方法」と呼ばれる、特別な方法論があります。私たちの伝統的な先生達は、その方法を使って解説を書いたのです。それらは、バーシャ・グランタ、ヴャーキャーナ・グランタと呼ばれました。

そしてこれらの解説は、散文体でも、韻文体でも書かれました。シャンカラーチャーリヤは、ブルハダーランニャカ・ウパニシャッドの、大部の解説を書きました。スレーシュワラーチャーリヤは、一つのウパニシャッドで1万2千もの節を書きました。想像してみてください・・・

これら6つの文献のグループ、全てが合体したものが「シャーストラ」と呼ばれているのです。

そして、全てのシャーストラは、「たった一つの目的」のためにあります。

シャーストラの目的とは何でしょう?それは、前回のクラスで見たプルシャアルタ」の達成のために、私たちを助けるためです。

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