インド聖典 人生の秘訣シリーズ 全16話
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バガヴァッド・ギーターとは ヴェーダーンタへの道 全16話 - ヨガ哲学の基本の準備

【第3話 社会の分割・ヴァルナ/カースト制とは】2.仕事による分割

2. 「職業/カルマ」に基づいた社会の分割

二つ目の社会を分割する基準は、職業/カルマに基づいた社会の分割です。サンスクリット語では、カルマ・ヴィバーガと言います。社会に対してなされる仕事、または貢献です。社会における全ての職業は、大きく4つに分割することができます。それらは、完全にきっちり分けられている訳ではなく、多くは重複しています。しかし便宜上、4つのタイプの仕事に分けることにします。それぞれの仕事は全て、社会の成長のためにとても重要です。

社会の分割一覧表

1.聖典を教える仕事/カルマ・ブラーフマナ
一番目は、今日では軽視されてしまっている、最も重要なもの、「聖典の学びと教え」です。聖典を教えることは、専門性と献身的な探求が必要とされる、本来とても重要な仕事です。なぜなら、過去のクラスで見てきたように、私たちの聖典は、他の宗教の聖典と違って、もの凄く膨大です。そして更に広く・浅くではなく、広く・深くだからです。
広くとは、たくさんの種類のトピックを取り上げているということです。哲学、倫理、儀式、占星術・・・もちろん文法も含め、たくさんの事柄があるゆえ、非常に広範囲だと言えます。

しかしそれだけではなく、同時に深く集中的でもあるのです。テキストを深く掘り下げるための、解説書があります。そして更に深く掘り下げるために、解説書の解説書もあります。そして更に、解説書の解説書の解説書もあります。解説書の解説書の解説書の解説書・・・時に、6~7代の解説書まである時もあります。どれくらいの階層があるのか、数えてみますか?

そして全ての聖典は、サンスクリット語で書かれています。最初にサンスクリット語の勉強をしなくてはいけません。もしあなたがそれを試みたことがあるなら、それがどんなものか分るでしょう。もしまだ試みてないのなら、あなたはラッキーです(笑)誰かがもっぱら人生を捧げて、学びそして教えない限り、それを維持して保存することはできないのです。それゆえ、誰かがやらなくてはいけない重要な仕事の一つが、聖典を原文にある言語で学び取るということです。翻訳は往々にして酷いものです。

聖典を学ばなくてはいけないということだけではありません。聖典を維持するためには、次の世代に伝えなくてはなりません。広範囲に、そして深く集中的に、です。

では、全ての一般の人々が、聖典の勉強を完成させることができるでしょうか?そんな時間はありません。700の節から成るバガヴァッド・ギーターの勉強を完成させるのに、何年もかかります。どれだけの時間とエネルギーが必要とされるでしょう?

ですので、社会全体が聖典の勉強に生涯をささげるということはできません。それゆえ私たちは、「それだけに特化した、独立した集団」を必要とするのです。彼らは他のどんな仕事も持つべきではありません。彼らのただ一つの仕事とは何でしょう?全ての聖典を学び、後世に教え伝える、ということです。

それだけではありません。彼らは分かりやすい表現で、現代の言葉を用いて社会に教えなくてはなりません。現代社会にマッチするよう解釈し、説明しなくてはならないのです。時代に応じて新しい状況はやってくるものです。聖典も現代社会に当てはまるように、柔軟に解釈されなくてはいけません。

ですので、聖典の教えと呼ばれるものは、一生を捧げなくてはいけない独立した仕事です。彼らは社会の中で、聖典を教える先生でありコンサルタントです。彼らは社会の精神科医のようにさえ奉仕しなくてはなりません。なぜなら聖典は、心理的な問題も扱っているからです。

そしてその仕事のことを、ブラーフマナ・カルマと言います。どんな人であれ、聖典に関する仕事をする者のことを、「カルマ・ブラーフマナ」といいます。

2.行政の仕事/カルマ・クシャットリヤ
そして、二番目のカルマ(仕事)です。これは、今日では高く評価されています。1番目のカルマは今日では軽視されています。だから徐々に聖典の学びは廃れつつありますが・・・この2番目のタイプの仕事は尊敬されていて、今でもバリバリの現役の仕事です。

これは何でしょう?全ての公共の事業です。国の管理・運営、政治、法と秩序の整備、警察、国の防衛、軍隊・・・これら全てのことは、市民が人生の目的を追求するための、平和で住みやすい環境のために供給されているものです。さもなければ、そこら中が泥棒、盗み、ひったくりなどであふれかえるでしょう。市民は常に恐怖におびえていなくてはいけません。

私たちが人生の目的を追求するためには、社会の環境は守られなくてはなりません。昔はこの仕事のことを、ラージャー/王の仕事と呼んでいました。今日では公共サービス・行政のことを言います。彼らの人生は社会に捧げられています。誰であれこの仕事/カルマに携わる者のことを、カルマ・クシャットリヤと呼びます。

3.商業的な仕事/カルマ・ヴァイッシャ
そして三番目は、世間でよく知られている全てのコマーシャル/商業的な活動、ビジネス、取引です。これは、社会が必要とする富を公平に分配し、分かち合うのに非常に重要です。全ての形のコマーシャルな活動です。そしてこの仕事/カルマは、ヴァイッシャ・カルマと呼ばれています。そして誰でもこの活動に携わる者を、カルマ・ヴァイッシャと呼びます。

4.肉体労働/カルマ・シュードラ
そして四番目、最後に来るのは、肉体的な労働です。特に目立ったスキルもなく、自分から考えて動くこともなく、リーダーシップのない、他の誰かのために活動している労働者です。自分で考えることをしないので、他の3人の人達、カルマ・ブラーフマナ、カルマ・クシャットリヤ、カルマ・ヴァイッシャの人たちに仕えます。これらいずれかの人たちのリーダーシップに従うのです。誰であれこのような活動をする人たちのことを、カルマ・シュードラと言います。

このように自分の仕事に基づいて、カルマ・ブラーフマナか、カルマ・クシャットリヤか、カルマ・ヴァイッシャか、カルマ・シュードラかであるかが分かります。
しかし、これら4つは完全に分かれている訳ではなく、多くは重複しているということを覚えておいてください。すべての仕事は同じように重要です。

これが、カルマ・ヴィバーガ(社会の分割)と呼ばれる、二つ目の分割です。

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