【第3話】3.生まれによる分割と選択

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【第3話 ヴァルナ、社会の分割/カースト制度とは

  1. 人格による分割
  2. 仕事による分割
  3. 生まれによる分割と選択

3. 「生まれ/ジャーティ」に基づいた社会の分割+階級(カースト制度)、個人の選択について

そして三番目の社会を分割する基準は、純粋に「生まれ/ジャーティ(ジャンマ)」、その人が生まれた家族に基づいた分割です。サンスクリット語で生まれはジャーティと言います。

もしブラフミンの家庭に生まれたら、私はジャーティ・ブラーフマナになります。同様に、ジャーティ・クシャットリヤ、ヴァイッシャ、シュードラ になります。

1. ブラーフマナの生まれ/ジャーティ・ブラーフマナ
2. クシャットリヤの生まれ/ジャーティ・クシャットリヤ
3. ヴァイッシャの生まれ/ジャーティ・ヴァイッシャ
4. シュードラの生まれ/ジャーティ・シュードラ

社会の分割一覧表

純粋に「生まれだけに基づいた分割」ですので、定義はありません。

ここまでをまとめると、例えば、ジャーティ・ブラフマナ(生まれが聖職者)の人が官僚になったとしたら、何になりますか?カルマ・クシャットリヤ(職業が役人)です。そしてその人が、そのポジションを自分のお金儲けのために利用したとしたら、どうなるでしょう?彼はグナ・ヴァイッシャ(人格が利己的)になります。

問題となっている「階級」カースト制度について

ではここで、「階級」について、お話したいと思います。この社会では、優っていたり劣っていたりの、階級と言うものがあるでしょうか?

聖典によると、「生まれによる分割」に関して、4つの生まれ全ては等しいとされています。生まれにより、誰かより優っているとか劣っているとか、言うことはできません。

誰も生まれの見地から、優越を主張すべきではありません。もし、私の生まれがブラーフマナだからと言って他の人に敬意を要求するなら、それは「カースト制度」と呼ばれる、非常に大きな問題になります。

カースト制度は、「生まれに基づいた分割」による優劣によって引き起こされた問題です。これによる教えは何でしょう?「ジャーティ・ヴィバーガ/生まれに基づいた分割」におけるヴィバーガは「分割」という意味であって、「階級」のことではありません。全ては平等です。

では、「仕事による分割」で優越はあるのでしょうか?聖典では、仕事による分割でも、全ては平等だと言われています。この仕事が劣っているとか、あの仕事が優っているとかはありません。全ての仕事は同じように重要です。

ちょうど4つの体の器官が4つの異なる機能を持つのと同じように、これら4つのグループも、それぞれが4つの異なる機能を持っているのです。

聖典を教えること、教育、法と秩序の整備をすること、経済力を保ち社会のシステムをサポートすること、頭を使うより足を使う労働、これら4つ全ては、4つの神のパーツと言われています。これら全ては等しく神聖です。足は口より神聖ではない、などとは言えません。

私たちは神の御足にひれ伏します。シャンカラーチャーリヤは、バガバッド・パーダ(神の足)と呼ばれていました。バガバッド・シラハ(頭)ではありません。
私たちはパーダ(足)プージャー(礼拝の儀式)をします。ウール(腿)プージャーや、ハスタ(手)プージャーではありません。パーダ(足)プージャーです。

ですので、仕事による優劣はありません。
生まれによる優劣もありません。

しかし一方、「人格による分割」においては、階級があります。グナ・ブラーフマナは、グナ・クシャットリヤよりも、グナ・クシャットリヤはグナ・ヴァイッシャよりも、グナ・ヴァイッシャはグナ・シュードラよりも、確実に優っていると言えます。なぜなら、グナ・シュードラはより動物に近く、グナ・ブラーフマナはより神に近いからです。

このように、人格の面で優っていることは、私たちが成し遂げなくてはいけないことです。ですので、誰であれより高い人格の人は、ナマスカーラ(敬意を示す)をするのに値します。

プラフラーダはラクシャサ/悪魔の家系に生まれ、しかも悪名高きラクシャサである、ヒランニャカシプの息子であったにも関わらず、最も敬虔な人のひとりになりました。

朝一番に、私たちはプラフラーダを思い出すことになっています。ナーラダの前に、です。このプラフラーダはどこに生まれましたか?彼はラクシャサ/悪魔の家系に生まれました。このことが意味するのは、生まれは問題ではなく、人格のみが問題になる、ということです。

ですので、生まれと仕事には階級はなく、人格のみに階級があるのです。

個人の選択

そして次にお話したいテーマは、「選択」です。私たちは、自分たちがどのグループに分類されるかを決定する上で、選択肢を持っているでしょうか?

生まれに関する限り、今生に関しては、生まれを選択することはできません。なぜなら、私たちはすでに、生まれているからです。だから、今生に関しては、生まれの選択肢はありません。

しかし聖典は、来世に関しては、選択肢があると言っています。
今生ではもう既に生まれを選んでしまっているけど、来世は、今の私たちの“生き方”によって、生まれを選ぶことができます。ですので、選択は部分的にはできるということになります。今生は無理だけど、来世はできる、ということです。

そして仕事に関しても、私たちは選択肢を持っています。どんな仕事も選ぶことができます。そしてどんな角度からでも、自分の仕事を選ぶことが可能です。

スワバーヴァ/生まれながらの性質に基づいて、仕事を選ぶことができます。持って生まれた素質に基づいた仕事の選択です。または、代々続いている家系の、家族の仕事に基づいて仕事を選ぶことができます。そして最後は、お金に基づいた仕事の選択です。

あなたの収入がどこから来ているのか、チェックする必要があります。生まれつきの性質に基づいた選択なのか?家系に基づいた選択なのか?それともお金に基づいた選択なのか?

聖典は、生まれながらの性質(スワバーヴァ)に基づく選択が理想的である、と言っています。なぜなら、その仕事を好きでやることができるからです。重荷になったりしません。職場に行くのも楽しいので、月曜日が悪夢になったりもしません。そして給料も大した問題にはなりません。その仕事自体が大好きだからです。

実際カルマ・ヨーガは、もしあなたがその仕事が好きであるなら理想的な修練となります。なぜならその行い自体が満足を与えるからです。

多くの人は、自分がどんな仕事をしたらいいか分からないと言います。生まれながらの性質、性格に基づいた仕事は理想的ですが、もしそれが分からない場合は・・・

では、二番目に推奨されている選択とは何でしょう?

家系に基づいた、または代々続いている仕事です。競争もありません。一つの分野が過剰になることも、特定の分野が無視されることもありません。なぜなら、全ての部門が家族のメンバーによって管理されているからです。このように、全ての仕事は守られ、競争はありません。それゆえ、二番目に推奨されているのは、家系に基づいた仕事です。

そして、最も最悪でネガティブなアプローチは、お金に基づいた仕事の選択です。これは最も酷い選択です。なぜなら、お金が重要になってくると、八百長が発生するからです。これ以上は説明する必要もないですね。お金が神とされている世界では、社会の中で不正は避けられないものとなってしまいます。

それゆえ、お金に基づいた仕事の選択は、絶対にしない方がいいと言えます。生まれつきの素質か、家系に基づいた仕事を選ぶべきです。

人格/グナに関しても、私たちは選択肢があると言えます。そして全ての霊性修行(サーダナ)は、自分のグナ/性質を、グナ・ブラーフマ(スピリチュアルな性質)に向けて、改善してゆくことです。究極的には、生まれが何であれ、仕事がなんであれ、私たちは徐々に、グナ・ブラーフマナになるべきなのです。

ですので、ここにもヴァルナと呼ばれる「選択」があると言えます。ヴァルナ(グループ)と呼ばれるからこそ、選択があるのです。

あなたは、あなたの来世を「選ぶ」ことができます。仕事を選ぶことができます。人格を選ぶことができます。しかし、人格の選択が、究極的に重要になってきます。

これが、ヴァルナ・ヴャヴァスター/社会の分割・組織体系です。

聖典によって供給されているこのインフラは、実は二つの構成要素から成り立っています。一つ目は、今回学んだ「社会の分割」、もう一つは、次回学ぶ「人生ステージの分割」です。社会の分割に対して、個人の分割もある、ということです。

人生を4つのステージに分けた「アーシュラマ・ヴャヴァスター」については、次回詳しく学んでゆきます。

「【第4話 1.じんせちは霊的自由を目指す旅】」
第一話から読みたい方はこちら


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