このシリーズは、「ヨガ哲学きほん講座(ビデオ講座)」で受講していただけます!
※講座の紹介動画はこちら
【第1話 4つの人生の目的】
- 知性を使わない人間は動物と変わらない
- 安全・快楽・目に見えない幸運、3つの目的
- 人類の最終目的地は、「悟り・解脱」
人間と動物の決定的な違いとは?
「プルシャアルタ」という言葉は、聖典の中で多く使われているので、明確な理解が必要です。”プルシャアルタ”という言葉の意味は、「人生の目的、人間のゴール」です。”プルシャ”とは人間という意味です。 ”アルタ”とは、この背景ではゴール/目的という意味です。人はそれぞれ違う目標を追い求めますが、どんな人のどんな目標も、”アルタ”と呼ばれます。
これら二つの言葉を組み合わせて、「プルシャ・アルタ=人間のゴール・人生の目的」という意味になるのです。
プルシャアルタは、人間だけが追い求めるものです。動物や植物が追い求めるものではありません。そしてプルシャアルタによって、人間は他の全ての生物より優れていると考えられています。
ではなぜ、人間だけがこのプルシャアルタを持っているのでしょう?
聖典は、人間は、動物や植物と、いくつかの点でとてもよく似ている、多くの共通の特色があると言います。
人間と動物の共通点
- 食べ物を食べる:どちらも食べ物を探します。生まれてからすぐに、彼らは食べ物を探し始めます。
- 眠ること:活動の後は眠るということが、人間、動物、植物、共通の特色です。立ったまま、座ったまま、横たわって眠るなど、色々な眠る方法があります。
- 恐れ、危険を感じる感覚:外界に対して危険を感じるゆえに、身を守ろうとします。
- 自分の種を繁殖させること:子供、孫、ひ孫・・・自分の種ごとに子孫を残そうとします。パランパラ(代々受け継ぐこと)です。
これら4つは、人間と動物に共通していることです。
しかし聖典によると、人間を優ったものとする一つの稀な特色があると言います。
私たちはどのように「人間の方が優っている」と言えるのでしょうか?
人間が動物より優っている理由―ブッディ/知性
考える能力、判断する能力、推理する能力、将来を計画する能力、先見の明の能力、将来のために働く能力… これらは全て、理性に基づいた能力です。
私たちはこれを、「ブッディ/知性」と呼びます。これは、人間だけに与えられた付加的な能力です。
ブッディ/知性だけが、人間を優ったもの、動物とは違ったものとしています。もし私たちが知性を持っていないとしたら、あるいは知性を使わなかったとしたら…
ある哲学者は、知性は使うな、知性こそが問題の原因だ!と言います。しかし聖典は、もし知性が使われなかったとしたら、人間は動物と変わらない、と言います。
それゆえ、付加的な能力である、ブッディ/知性によってのみ、私たちは自意識過剰になったり、自己批判したり、他人と自分を比較したりなどが、できるようになるのです。これらの能力は、動物たちは持ち合わせていません。
例えばドッグショーが開催されたとして、どの犬が優れているかを競い合うとします。犬たちには色々なことを要求され、金、銀、銅メダルが与えられます。そして彼らが表彰台に立っている時、その犬たちはどんな風に感じるでしょう?金メダルを取ったぞ!または、100分の1秒で負けてしまった!でしょうか?いいえ。犬たちは、優越感を持ったり、劣等感を抱いたりの、コンプレックスは感じません。彼らはただ舌を出して、キョロキョロとあちこちを見渡すだけです。彼らは、今どんな最悪なことや、素晴らしいことが起こっているのか、分かっていません。
では一方で、コンプレックスを感じているのは一体誰でしょう?犬たちの飼い主こそが、コンプレックスを感じているのです。そして一度コンプレックスを持ったなら、将来は自分自身を改善しようと考えます。それは将来を見通すこと、将来はもっと幸せになるぞと願うことになります。
そして将来を改善するために、私たちは計画を立て始めます。そしてその計画は、すぐに達成したい短期的な目標と、長期的な目標に分けられます。最初の年は、50万円くらいの利益でいいかな、翌年はもっと増やして、100万円は欲しいな・・・という具合です。このように目標を持つ能力があるのは、私たち人間だけです。
もし、惜しくも二位になってしまった犬に、次回のドッグショーでは優勝を狙いますか?とインタビューするなら、その犬は何と言うでしょうか?ただワン!と吠えるだけです。犬には、次回のドッグショーの目標など何もありません。
動物と植物は、本能に支配されています。一方人間も、動物たちと共通点があるので、同じように本能に支配されています。
しかし人間は、本能よりも将来を「選ぶ」能力の方が大きいと言えます。そしてこの「選ぶ」という行為により、人間はたくさんの目標を楽しむことができます。そしてこれら、全ての目標のことが、プルシャアルタと呼ばれているのです。
では、そのような目標は、いくつあるのでしょうか?中間のものから究極のものまで、短期的、長期的なものなど、数え始めたらきりがありません。しかし、そのような目標が数えきれない程あったとしても、それらは4つのカテゴリーに分類することができます。
そして、どの目標を目指すとしても、4つのカテゴリーの内の、どれか一つに必ず分類されます。5つ目のカテゴリーはありません。
では、その4つのカテゴリー、4つの目標とは何でしょうか?
ここからいよいよ、「人間の4つの人生の目的」の具体的内容に切り込んでいきます。
2. 安全・快楽・目に見えない幸運、3つの目的 へ
※ブログやSNSなどへの転載は可能ですが、必ず引用元として当サイトへのリンクをお願いいたします。尚、商用サイトへの転載はご遠慮いただくようお願いいたします。